近代マーケティングの父 フィリップ・コトラー教授の知られざる魅力

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第四回:ケロッグ懇親会でコトラ-教授が語った、平和へのマーケティング

コトラー教授は、来日する際に必ずケロッグ卒業生と会う。今回は、ケロッグ卒業生30名ほどが集まって、懇親会が開催された。プライベートな空間で、コトラー教授の貴重なレクチャーを独占。“平和はマーケティングできるか”というテーマについても語ってくれた。

取材・執筆 ケイティ堀内
 (Class of 1996, H&Kグローバル・コネクションズ

 

ケロッグ懇親会にコトラー教授 登場!

閑静な住宅街にある高級マンション。バルコニーから見える東京の摩天楼、おいしい料理、アップテンポのジャズ。

私たちケロッグ卒業生にとって、もっとも待ちわびた時間、いよいよコトラー教授を囲んでの懇親会だ。KCJ会長を務める加治氏(内閣広報室参事官)の計らいで、パーティは、彼の自宅で行われた。

広々としたリビングは、あっという間に卒業生で埋め尽くされ、大変な熱気だった。

卒業生でありコトラー教授と交友の深い柴田光廣氏(コンサルタント)をはじめ、日産自動車 執行役員の星野朝子氏、サトーホールディング(株)社長の松山一雄氏、株式会社PTP代表取締役の有吉昌康氏、その他、各方面で活躍する若手メンバー含め、約30名が多忙なスケジュールを調整して出席した。

年代も業界も多種多様なバックグランドを持つケロッグ卒業生たちが一同に介すると、いつものケロッグ同窓会のように、華やかな場となった。

公的な場とは違う、とてもリラックスした優しい笑顔を見せたコトラー教授。先生を囲むように座った私達は、まるでエバンストン市にあるケロッグのキャンパスにある教室にいるかのように感じた。そこで、コトラー教授は、学者としてではなく、私たちの“恩師”の顔となった。

私達にとっては、先生のレクチャーを独占する“夢”のような時間となった。

平和~Peace~はマーケティングできるのか?

加治邸にて開かれたケロッグ懇親会で、コトラー教授は次のようなエピソードを語ってくれた。

サウジアラビアのある王族関係者に招かれた時、このような質問を受けた。

「PEACE(平和)はマーケティングできるのか?」

この質問は、アメリカと中東の関係がどこまでも根深く、争いの耐えない状態を憂いでのものだった。

そして彼は、「優れた仲介者(mediator)」を媒介することによって、平和へ向かうことができるはずだ」と伝えたという。コトラー教授は、さらに踏み込んで、私たち日本人も、その「優れた仲介者」として貢献できるのではないかと言った。

この言葉に、全員が、息を呑んだ。

よく考えると、日本は、かつてアメリカとの戦争で被爆国となり、多くの尊い命を失った。それなのに日本は、核を捨て、戦争を放棄し、アメリカやその他あらゆる国々と良好な関係を築こうと努力している。つまり、「武力」でなく「和の力」を信じ、実践している国なのである。

私たち日本人にできる平和へのマーケティング、それは「和の力」の実践ではないだろうか。

日本の向かうべき道のひとつが、私たち卒業生に示されたような瞬間だった。

 

ケロッグ卒業生が語るコトラー教授への思い

有限会社ルミエール 代表  柴田 光廣 (1976年卒)

私はコトラー教授のマーケティングを学びたくて、イトーヨーカドーを休職して、ケロッグに留学しました。しかし、当時は、まだ私たち日本人留学生の英語はレベルが高くなく、意見を言いたくても、授業中はまったく発言できず、成績が不安でした。

私は日本の英語での発言の不得意さについて説明したいと考え、日本人同級生と相談し、妻の了解も取って、無謀にもコトラー教授を自宅に招いてみたのです。まさか高名な先生が本当に来てくださるとは思ってなかったんですけどね。

ところが、気軽に「OK」と言ってくれてこちらがびっくりしました。

そして、コトラー教授に日本食をお出しして喜んでいただきながら、
ケロッグやコトラー教授の授業について、感じることや思うこと、そして日本人は授業を理解しているし、意見も持っているけれど、英語でうまく伝えられない事情などを説明しました。

するとコトラー教授は笑顔で、「そんなこと分かっているよ。そのためにわざわざこうやって言う必要なんてなかったんだけど、和食を楽しめて良かったよ。」と言ってくれました。

こんなオチがついたくらい、本当に気楽に会ってくれて、話しを聞いてくれる素敵な人だったんですよ。

次に、私が個人的にコトラー教授に質問があって、土曜日にアポを取り、研究室に会いに行くと、今度はなんと彼はジーンズ姿だったのです。本当にびっくりした私に、こんなことを語ってくれました。

「ミツ、人にはTPOがある。私はこの後、妻とピクニックに行く予定なんだ。すべての人はいろいろ違った立場をもっていて、そのどれをもきちんと演じきらないといけない。」

こんなに世界的に著名な学者であるコトラー教授が、家庭人としての立場を大切にしていることに、私は大変びっくりしました。

そしてその後、先日の夕食のお返しにと、コトラー教授のご自宅に招かれたのです。

伺ってまた驚いたのが、あれほどの著名人であるのに、自宅も生活も決して
華美ではない。そしてコトラー教授が家庭をいかに大事にしているか、どんなに素晴らしい一家であるかが感じられるディナーでした。仕事がどんなに多忙でも、家庭を決しておろそかにしないことが、社会的ステイタスにとっても大事なのだと学びました。

こうして、いち生徒だった私とコトラー教授の交友関係は、それ以来、約40年も続いています。

私はたいして良い生徒ではなかったのに、なぜこんなに親切にしてくださるのか不思議です。

そう言えばコトラー教授は私をfinest studentと言ってくださいました。Best studentではありませんよ(笑)。

私は英語は上手くありませんでしたが、コトラー教授の授業だけは全科目を履修し、すべてAをいただきましたから、頑張っていることを認めてくれていたんですね。

コトラー教授は、私の3人の恩師のうちのひとりです。卒業後もいろいろな場面で相談し、懇切丁寧なアドバイスをいただき、心から感謝しています。

 

 

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