人生を“自由に”設計する
倉田 進クラタ アンド アソシエーツ日本代表 / 日本AMS(株)代表取締役社長
成功するビジネスに戦略があるように、人生にも戦略があるべきです。私は、世界の仲間と仕事をする中で、いかに世間に流されず、自分らしい形で、QOL(Quality of Life)を高められるかを模索してきました。
長寿社会、グローバル社会において、リーダーとして活躍されている皆様に、人生においても成功していただける人生学を、連載でお伝えいたします。
成功の定義を誤ってはいけない
“年収をアップする方法”
“会社でトップになる50の法則”
“勝ち組に残るには”
書店に行くと、ビジネスにおける成功について様々な本に出会います。
それらを手に取ると大きな共通項が見えてきます。それは、成功の定義が「お金」や、「名声」、「社会的地位」といったもので定義されているという事です。
常に、人生におけるQOLを求めてきた私は、これに強い違和感を感じるのです。
デフレ経済、災害、不況の嵐。経済的な問題が多い中、なかなか理解いただけないかもしれません。しかし、「人生の方向を誤ってはいけない」、という想いから、お伝えします。
このような、いわゆる「物質的成功」は、それが社会への公益に対する良い波及効果(シグニフィカンス・インパクト)が伴っていなければ、結局のところ満足な結果を得ることができないのです。
自分オリジナルの尺度で、人生設計をする
私がこのような結論にいたったのは、日本、アメリカ両国において、いわゆる「仕事中心」に、世間の基準で生きてきた方々が、幸せな引退を伴っていないという事実を多く見聞きしてきたからです。
では一体、人生を最後まで幸せに生きている人というのは、どんな人なのでしょうか。それは、自分なりの価値基準で人生を設計したり、家族や友人を大切にしたり、社会に貢献することをめざしている方々なのです。このような方々には、引退という言葉がありません。
「お金持ちになることや、会社で出世して社長になることなどがつまらない」、と言っているのではありません。多分、最初は、それらを達成する度に、大変エキサイティングに感じるでしょう。しかし、時を経て、あらゆる事を経験すればわかります。このようなものは、人生の究極のゴールにはなり得ないのです。
つまり、いわゆる世間が羨む“見せかけ”の成功に惑わされず、ご自身の人生のゴールを自分オリジナルの尺度で定義することが重要です。
世界1、2位の資産家であるビル・ゲイツやウオーレン・バフェットを見てみるとよくわかります。彼らは、沢山儲けて、早く引退しようと考えている人間ではなく、社会のため、人のために何ができるのかを一生をかけて追い続ける人達です。そして、私が出会った多くのリーダーたちも証言しています。「経済的成功、社会的地位、名声などは人生の副産物に過ぎない」、と。
次回は、私の家庭で実践した「ミッション・ステートメント」についてお伝え致します。
著者プロフィール
クラタ アンド アソシエーツ日本代表/ 日本AMS株式会社代表取締役社長
[主な経歴・業績]
30年以上のグローバル・ヘルスケアのトップマネジメントの経験を踏まえ、東京、フロリダを拠点に国際ビジネスコンサルタント事業を展開。おもに、ヘルスケア、ゴルフ関連事業のコンサルタント、そして、退職世代の新しいライフスタイルの研究、新定年学のすすめの啓発活動を推進。日本AMS株式会社では、日本の高齢化社会のニーズに合った泌尿関連機器の日本事業を展開している。早稲田大学卒業。ケロッグ経営大学院修了(MBA)。ハーバードビジネススクールにてエグゼクティブプログラム終了(EMP)。
在日米国商工会議所(ACCJ)会員、医療機器委員会元副会長(1999-2006)、経済同友会会員、同友クラブ理事、アメリカ退職者協会(AARP)会員、米国ゴルフ協会(NGF)会員、日本抗加齢医学会会員他、東京アメリカンクラブ、早稲田二十日会等のメンバー。
[関連サイト]
日本AMS株式会社
http://www.amsjapaninc.co.jp/
[書籍案内]
「フロリダ退屈日記 団塊定年、人生はこれからだ!」
出版社:日経BP
初版発行日:2011年10月11日
倉田進(class of 1989)著
日本AMS(株)代表取締役社長
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/K03730.html