未来の楽しみを創造する
「アントレ×エンタメ」とは?
(1) 時代の変化と生き方
荻野 浩司スケールアウト株式会社 代表取締役社長
どのように生きるか?
このシンプルな質問を、人は普段意識せずに生活することが多いでしょう。
たとえ意識したとしても、答えは人によって千差万別で、必ずしも簡単に打ち出せるものではありません。では私の場合はというと、同じ人生を歩むなら、綺麗な花が咲く道を楽しみながら行きたいと答えます。
この「人生を楽しみながら歩む方法」として私が打ち出したいのは、「アントレ×エンタメ」というコンセプトです。これは「新しいカテゴリーの“楽しみ”を創造する」、という意味で、アントレプレナシップとエンタテイメントを掛け合わせたキャッチフレーズのようなものです。
このコンセプトを理解していただくために、まずは時代観を鳥瞰しながら、音楽を包含したエンタテイメントの新たな方向性についてお話ししたいと思います。
さまざまな変化が起きている
有史以来、人類は様々な進化や変化を遂げてきました。その歴史からの連続性の延長線上で、現代や次世代の価値観や役割があります。私個人が特に顕著な変化要素であると着目し、興味を持ってきたのは「情報革命」と「グローバル化」の2点です。まずは情報革命について考えたいと思います。
情報革命の時代
テクノロジーの進化は、常に人の生活向上を牽引してきました。現代では、エレクトロニクスの発展と共にコンピュータやインターネットが普及し、人類は、農業革命と工業革命に次ぐ第3の変革期を経験しています。
情報検索、情報発信、情報交換などの方法は、ここ数十年で劇的に変化しました。ナノテクやバイオテクの発展がこれに拍車をかけ、人と情報のかかわり方はこれまでと全く違う次元のものへと進化しています。
アルビン・トフラー、レイ・カーツウェル、ゴードン・ムーアなどハイテクに精通した知識人は、情報テクノロジーの進化の方向性やスピードに関して、示唆的な予測をしています。例えば有名な「ムーアの法則」によると、世界中の人の脳の処理能力に匹敵するほどのコンピュータが登場する日が近いとまで言われています。この大きな流れは、エンタテイメントに関する様々な情報のあり方にも著しい影響を与えるでしょう。
グローバル化の時代
テクノロジーの進化により、地球は狭くなりました。多くの情報へのアクセスが容易となり、誰とでもコミュニケーションができる時代です。グローバル化においては、「多様化 (Diversification) と「統一化 (Unification)」の両方が同時に進んでいます。
「多様化」により、世界の様々な人々との交流やコラボレーションの機会が多くなります。地域、文化、産業、あるいは個人レベルでの様々な異なった種類の価値観を認め、互いの強みを引き出して共存繁栄することがますます重要になります。
一方で、様々な人たちが共存できるために、誰でも実践できるような共通の考えやスタンダードが見える形で「統一化」されています。例えば、ソーシャルメディアにより世界中の多様な人が交流できますが、操作方法やインターフェースは、言語を除いて統一的にデザインされています。
グローバル化の時代には、様々な「交差点」のような場で様々な人が出会い、交流することになります。交差点を上手に渡れれば、この時代も皆でうまく渡っていけそうです。
情報革命やグローバル化は、どれも人類が初めて経験することであり、双方向に関係しながら、あらゆる分野での仕事・生活スタイル、ものの見方を急激に変えていきます。大局的に見て、我々はとてもエキサイティングな、かつ後世に対して責任の大きい時代にいるのだと言えます。
私自身のキャリアを上記のようなマクロ的な観点から眺めて考えると、着眼点は常に「楽しみの創造」における変化でした。情報革命とグローバル化が、音楽や映像などのエンタテイメントをより楽しい方向に変化させていきます。次回以降はこうした今後のエンタテイメントの姿について考えていきます。
著者プロフィール
荻野 浩司 (Oggy: おぎー)
スケールアウト株式会社 代表取締役社長
[主な経歴・業績]
ソニーにてソフトウェア開発や技術戦略企画に携わり、様々な商品カテゴリーで必要なメディア関連技術や基本ソフトウェアなどを横断的に検討。米国シリコンバレー R&D 拠点駐在による5年半の開発や企画も経験。その後、マッキンゼーで戦略コンサルティング業務を経て、2011年にスケールアウト(株)を起業。音楽関係の企画制作、テクノロジー関連のコンサルティングなどを展開。アントレプレナシップとエンタテイメントを融合させた独自コンセプトに基づき活動中。
神戸大学工学部修士課程卒(1994年)。Kellogg (ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院) MMM プログラムにて MBA (経営修士号)と MEM (技術マネジメント修士号) のデュアル学位(2009年)。
ミュージシャン Oggy (おぎー) としても精力的に活動中。ギターを手に、定期的にジャズやブルースなどのジャムセッションに出没。オリジナル曲などの弾き語りパフォーマンスも行っている。
[関連サイト]
スケールアウト株式会社 :
http://www.scaleout.tv
Oggy ウェブサイト :
http://www.oggy.net
Oggy フェイスブック :
http://www.facebook.com/oggy8
Twitter : https://twitter.com/oggyoggy
インタビュー (クロスサイトプラス) :
http://home.xsightplus.com/interview/interview005