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第1回:ケロッグで始まった使命を探す旅

伊藤 武志
株式会社価値共創 代表取締役

私が現在小さな会社を立ち上げ、自分の使命を実践できているのは、ケロッグで学んだ頃の貴重な体験があとを押してくれているのだと感じている。私は決して綺麗なエリート街道を歩いてきたわけではない。大学を出て銀行に就職し、ケロッグに留学してからずっと、私は長い旅をしてきたような気がする。幾度もつまずき、迷い、とまどいながらも、「自分の使命」に出会うことが出来た。それは、ケロッグの教えを頼りに手探りで掴んだ経営哲学:「『うれしい』がお金になる、社会の幸せがお金に通じる」の実践である。

 今や日本は、夢を見ることが難しい国になりつつある。さまざまな混沌と葛藤の中で、かつての私と同じように、迷いさまよう多くの人達にエールを送りたい。そのために、自分の使命への道のりと思いについて語ろうと思う。

自分の運命を変えたケロッグとの出会い

新卒で銀行に入社した私は、幸運にもケロッグで学ぶ機会を与えられた。後にも先にも、この留学ほど私の人生に影響を与えたものはないだろう。

それほどまでに、ケロッグは何もかもが素晴らしかった。

ケロッグで、私は経営・非営利経営・ファイナンスを専攻した。特に非営利経営は私の中に大きなインパクトを残した。人々の幸福なくして、あらゆる活動は意味を成さない。実際、営利と非営利の区分は重要ではなく、事業を通して顧客と社会のニーズにこたえること、そして得意分野を活かし、事業活動と公共セクターでは解決できない公益的なことを、協力して担っていくのが我々に求められることである。みんなで幸せをつくる、ということである。

実際、ケロッグでもこの非営利経営、今では「社会的事業」は活発に行われており、卒業生の5人に1人は非営利組織の理事になっているそうである。

TGでクラスsection68のみんなと

学生はだいたい25~27歳くらいが多く、学生同士がコミュニケーションをとる機会が設けられていた。毎週金曜日の夕方には学校で、TGIF(Thank God in Friday)を略したTGという飲み会の場があり、ビールを飲みながら会話を交わした。人脈を作ること、互いを知り人に興味を持つこと、勉学や知識と同様に、人の係わり合いにフォーカスしたケロッグの教育スタイルは、卒業してからの自分の活動に大きく影響している。

ケロッグでの2年間は、私に新鮮な学びとハイレベルな友人たちをもたらした。卒業後銀行に戻ってからは、銀行員として法人や個人のお客さまの喜びや成功をつくりそれにより富を生むという事業として最も大切なことも、さらに人と社会のために貢献する活動するというさらなる段階も中途半端で、葛藤を抱える日々が続いていた。

使命を探すための旅

企業派遣の友人とStockExchange前

ちょうどその頃、大きな出会いがあった。コンサルティング会社を立ち上げたばかりのある社長に、うちに来ないかと誘われたのだ。これが私にとっての最初の転機となった。何か掴めるかもしれない、そう思って飛び込んだ。

入社後は、社長とともにほぼ一からコンサルティング会社をつくり上げた。最初は右も左も分からないままだったが、社長に付いて企業のお客さまに深く関わらせていただくうちに、徐々に、お客さまの立場に立って経営や事業、業務を改善し、働いている社員の皆様に幸せになってもらえるような仕事ができるようになった。それは銀行のときに自分の中でうまく消化できなかった夢を、新たにかたち作る工程となっていった。

しかし、10年ほど経った2007年の春、このコンサルティング会社を辞めることになる。社内でNo.2になっていた私は、社長の方針にどうしても納得できなくなってしまったのだ。

実は、この頃私の中には、10年の経験から、これからの世の中の方向性や経営のあり方について漠然とした哲学が生まれていた。もともと銀行に入った理由も、MBAで非営利経営を専攻した理由も、「仕事を通して人や社会のためになりたいたい」という思いがあったからだ。しかしその実現方法が分からない。

なんとか方法を見つけたいと、大学の研究員になって1年半を過ごすが、思うような結果には繋がらず葛藤を抱えたままだった。さまざまな人に会い、話を聞き、さまざまな会合に出て、何を目指すべきか、何をすべきかを考える。

本当なら、現場でお客さまと接し、提案し、引き合いをもらい、良い結果を出し、満足してもらうことが最も大切であるはずだ。そのために銀行を辞めたのだし、そこから見えてくることも多いことはわかっている。しかし、より広く多くの人々に役に立ちたいという思いが捨てきれない。以来、これからのあたらしい社会を創るための梃子は何だろう、その実現のために、自分が生きる上で礎としたい大事なことは何だろうとずっと考えていた。

そんな私を混沌から救ったのは、知人の何気ない一言、「うれしい」という言葉だった。それは、私の使命が「うれしい」を作ることであると気付かされた瞬間だった。

 

著者プロフィール
伊藤武志

伊藤武志
株式会社価値共創 代表取締役
1994年ケロッグ卒業

[主な経歴・業績]
銀行での経験のあと、コンサルティング会社を経営し、
15年間、戦略立案、経営管理、組織開発、人財育成の業務・研究に携わる。
共に、この瞬間を生きていることに感謝し、幸せに思いつつ、
勇気を持ち、助け合いながら、現実を直視し、夢を描き、
あきらめずに行動し、生まれた価値を分かち合うこと、
そして魅力的な人々のあふれる魅力的な組織・社会を創り、
一人あたりの名目と実質のGDP、給料と幸せを増やしていくための
うれしい経営を実践し広げることを大切に思っています。

一般社団法人企業研究会 戦略スタッフ研究フォーラム 研究協力委員
車座の会 主宰

[主な著書]
著書として、
『実務入門事業計画書のつくり方』(共著)
『図解でわかるソリューション営業』(共著)
『バランスト・スコアカードによる戦略マネジメント』
『図解でわかる技術マーケティング』(共著)
翻訳書として、
コーキンス著『実践ABCマネジメント』
アンダーソン/ジョンソン著『システムシンキング』
ハチェンス著『エミーとレニー 2匹のねずみのお話』
ドーン・イアコブッチ他著『マーケティング戦略論』(共訳)
ロビネッティ/レンツ/ブランド著『エモーションマーケティング』(共訳)
ウルリヒ/カー/アシュケナス著『GE式ワークアウト』(共訳)
マクグラス著『プロダクトストラテジー』(共訳)
ウルリヒ・ブロックバンク著『人事が生み出す会社の価値』(共訳)
キャプラン/ノートン著『バランスト・スコアカードによる戦略実行のプレミアム』(共訳)
がある。

[関連サイト]
株式会社価値共創 ウェブサイト http://www.valuecocreation.co.jp
伊藤 武志 フェイスブック http://www.facebook.com/itotakechan

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