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倉田進

シカゴ赴任とケロッグ留学時代

倉田 進
クラタ アンド アソシエーツ日本代表 / 日本AMS(株)代表取締役社長
私は、大学卒業後の商社勤務を経て、外資系トップマネジメントとして、グローバル・ビジネスの一線を走り続けてきました。子供も独立し、現在は、アメリカと日本の両国に住み、国際ビジネスの傍ら、主に団塊の世代の方向けに新しいライフマネジメントのあり方をお伝えしています。
成功するビジネスに戦略があるように、人生にも戦略があるべきです。私は、世界の仲間と仕事をする中で、いかに世間に流されず、自分らしい形で、QOL(Quality of Life)を高められるかを模索してきました。
長寿社会、グローバル社会において、リーダーとして活躍されている皆様に、人生においても成功していただける人生学を、連載でお伝えいたします。

バクスターのアメリカ勤務、そしてケロッグへ

1987年、当時勤務していたバクスターインターナショナル社より、シカゴにあるアメリカ本社勤務の話がきました。さらに、働きながら、企業派遣としてビジネススクールで学ぶというオファーつきで、2年間、ケロッグ経営大学院で、EMP(Executive Masters Program)の授業を受けました。

ケロッグに決定する前に、MITから入学通知を受けており、MBAフルタイムコースに進学する予定でした。しかし、会社の方針が変わり、シカゴでアメリカ本社勤務をしながらビジネススクールへということで、ケロッグとシカゴ大学の週末・イブニングコースに再応募したのです。幸いにして、両校から合格通知を頂き、マーケティングで評判のケロッグ経営大学院を選びました。

アメリカのバクスター本社マーケティング部門では、驚くことに約8割の人がMBAや経営学の博士号を持っていました。しかも、彼らの出身は、ケロッグはもちろん、ハーバード、MIT、ウォートン、イェール、スタンフォード、ミシガン、シカゴなどの全米トップテンのビジネススクールで占められていました。バクスターのオフィスは、まさに、ビジネススクールのケーススタディ演習のような雰囲気でありました。

ケロッグ経営大学院EMPスクールライフ

ビジネススクールでは、いわゆる「バズワード(業界に特有の言葉)」が飛び交います。

「Cash flow」, 「NPV」, 「Sensitivity Analysis」, 「BCG chart」, 「Competitive edge」,「Relative Market share」等がそうです。

私はこれらを、授業開始前に予行演習として、また同時進行形でも学べました。また、会社の同僚に随分、学校の宿題を助けてもらいました。

月末の土曜日は朝一番の講義だけ参加し、そのままオヘアー空港に直行といったことを毎月繰り返しました。シカゴ・成田を何度も往復し、仕事と学校の両方で大変忙しい期間でしたが、非常に充実していました。

皆さんは、ケロッグ経営大学院を全米ナンバー1として成功させたドナルド・ジェイコブズ前学長(現在、名誉学長)をご存じですか? 彼は、就任直後から強力なリーダーシップを発揮しました。当時比較的給与の低かった優秀なミクロ経済の教授を多く登用し、後にケロッグの代名詞となるマーケティングなど他分野への転身を図らせ、ケロッグMBAプログラムをトップクラスに育て上ました。

私は、ジェイコブ前学長の授業を受けました。その授業は、ノーベル賞受賞の経済学、ミルトン・フリードマン著の「Free to Choose~選択の自由」を副読本にしたものでした。講義は、自由主義経済の楽観主義に満ちた希望あふれる楽しい内容で、今でも鮮明に覚えています。

ケロッグは、ビジネスウイーク誌のランキングで、1988年から3年連続ナンバーワンに選ばれました。マーケティングに代表されるトップクラスの授業、コラボレーション型リーダーシップを中心とした授業や評価方法、そしてダイバーシティーを重視したスクールカルチャーなどで差別化し、ケロッグは、トップスクールとして不動の地位を確立しました。


出典: Business Week, Oct.29, 1999

最後に

最近の統計によれば、日本人の海外留学は年々低下し、中国、韓国、インドに抜かれているとのことです。各国の経済成長比率と海外留学比率に相関インデックスがあるのではと(冗談ではなく)思っており、経済学者に検証してもらいたいと考えている所であります。

グローバル時代には、人材のグローバル化が必須であります。若い方には海外留学の機会をつかんで頂きたいし、また海外留学、海外赴任の経験者には、是非その貴重な経験をまわりに人達に伝えて頂きたいと望みます。それは仕事の上でも、個人の生活でも、必ず良い結果につながると信じております。

私はシカゴ滞在中、アメリカ人の生活スタイルと同じように、家族との時間や触れ合いを大切にするこができました。結果として、家族の絆の大切さを再確認できました。

シカゴ赴任時代、ケロッグから多くを学んだ者として、さらに社会に貢献できる機会に関わっていきたいと考えています。

合計4回にわたるコラムは、これで最終回です。愛読していただき、有難うございました。

著者プロフィール

倉田 進
クラタ アンド アソシエーツ日本代表/ 日本AMS株式会社代表取締役社長
[主な経歴・業績]
30年以上のグローバル・ヘルスケアのトップマネジメントの経験を踏まえ、東京、フロリダを拠点に国際ビジネスコンサルタント事業を展開。おもに、ヘルスケア、ゴルフ関連事業のコンサルタント、そして、退職世代の新しいライフスタイルの研究、新定年学のすすめの啓発活動を推進。日本AMS株式会社では、日本の高齢化社会のニーズに合った泌尿関連機器の日本事業を展開している。早稲田大学卒業。ケロッグ経営大学院修了(MBA)。ハーバードビジネススクールにてエグゼクティブプログラム終了(EMP)。
在日米国商工会議所(ACCJ)会員、医療機器委員会元副会長(1999-2006)、経済同友会会員、同友クラブ理事、アメリカ退職者協会(AARP)会員、米国ゴルフ協会(NGF)会員、日本抗加齢医学会会員他、東京アメリカンクラブ、早稲田二十日会等のメンバー。

[関連サイト]
日本AMS株式会社
http://www.amsjapaninc.co.jp/

[書籍案内]
「フロリダ退屈日記 団塊定年、人生はこれからだ!」
出版社:日経BP
初版発行日:2011年10月11日
倉田進(class of 1989)著
日本AMS(株)代表取締役社長
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/K03730.html

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