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鈴木慶太

“チームワーク”を分解してみる

鈴木慶太
(株)Kaien 代表取締役
「チームワークとは他人の意見を尊重すること?」 たしかにその通りなのだが、ケロッグで感じたチームワークはさすがと思わせる基本要素が揃っている。その秘密を分解したい。

チームワークのDNA

前回も書いた通り、僕は発達障害者の就労支援をビジネスにしている。行政から職業訓練を受託したり、企業に発達障害者にマッチする職域を開拓して人を紹介したりするのがサービスだ。

これまでに500人近い発達障害の方に接してきて思うのは、やはりコミュニケーションの部分で困っている人が多い。その人達と接しているとケロッグで流れるように行われていたチームワークが一工夫しないと成立しないことに気づいた。(※念のために書いておくと、もちろん発達障害者の側に苦手な部分があるのは確かだが、上司や同僚にも完璧なコミュニケーションが出来る人などいないし、むしろ崩す人もいる。)

いや、ケロッグの文化には、仕組みとしてチームワークのDNAが織り込まれていたのだ。一体それは何なのだろうか?自分が立ち上げた会社を顧客に世の中に認めてもらうためにはそのチームワークをいかに当社に移管できるかが大きな課題だった。

人参の大きさと場所を教える

チームワークの観点から見た時に、ケロッグが他のビジネススクールと比べて何が違うのかというと、評価方法が大きく違うのだ。某校のように個人が手を上げて発言することが成績に響くのではなく、ケロッグではチームの出来が個人の成績に大きく影響する。

たとえば、僕はケロッグ時代、スプレッドシートモデリングのTA(ティーチングアシスタント)をしていた。TAといっても教える側ではなく、採点をしていた。その教科の課題はすべてチームワーク。なので点数もチーム単位。チームでの課題が7割以上の成績を決めてしまっていた。つまりチーム間でA、B、Cがほとんど割り振られてしまい、完全なる個人戦は残りの3割程度。クラスでどんないい発言を個人的にしても3割分にしかならない。

単純なことだが、もう少し紐解くと、チームで評価をすることを組織に根付かせるということが重要であり、かつ、その評価方法をディスクローズしなければならない。こうすれば人参がぶら下がっているだけでなく、どこにどの程度の大きさの人参があるかわかるので走りやすい。リーダーはその人参の大きさや方向を適宜調整すれば良いわけである。

ここで問題が出てくる。当然フリーライダー、タダ乗りが出てくる危険性だ。ケロッグももちろんこの問題があるのだが、実はチームワークはゲーム論でいう繰り返しゲーム。ある学期・教科で悪いパフォーマンスを出すと、次の学期に組んでくれる人がどんどん少なくなる。悪評がたってしまうからだ。これは、実際の会社と良く似た環境だと思う。

DiversityAtKaien

当社スタッフ 大学生・30代そして50・60代と年齢構成はバラバラ

「チームメイトとは分かり合えない」という前提が鍵

もう一つ重要な要素がある。それは発達障害の人たちの多様性をみて改めて感じたところなのだが、チームワークには「他人とは分かり合えない」という前提が大事だということだ。

「え!!」と思う方もいると思う。「分かり合うまでにとことん付き合う」のがチームワークではないかと。たしかに日本型のチームワークはそうなのであろう。が、これからますます増えてくると思われる、国籍も文化も多様な組織では、わかりあえていることを前提にするとチームワークが崩壊することがある。人の価値観は千差万別であるからである。

多様性のある場合は、むしろ「わかりあえていない」という前提で動くことがマナーだ。大事な方向性だけはきちんと契約などで抑え、ルール・原則を尊重し、そのうえで多様性のある個々人が有機的につながる。

ルールで決めたお互いの重なりの部分に集中し、重なり合っていない個々人に任せたところはわかり合おうとしても難しいので内政不干渉の原則を取り入れる。「分かり合えない」と思うからこそ、チームメイトを尊重した組織になると思う。(了)

鈴木慶太さんによるコラムは、次回も続きます。お楽しみに!

著者プロフィール

鈴木 慶太
(株) Kaien 代表取締役

[主な経歴・業績]
2000年、東京大学経済学部卒。NHKアナウンサーとして報道・制作を担当。’07年からKellogg (ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院)留学。MBA。渡米中、長男の診断を機に発達障害の能力を活かしたビジネスモデルを研究。帰国後Kaienを 創業。今年(’12年)5月にダイヤモンド社から「MBA、起業、そして発達障害の物語(仮)」を出版予定。

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