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鈴木慶太

発達障害からリーダーシップを考える

鈴木慶太
(株)Kaien 代表取締役
MBAはリーダーシップを学ぶ場である。とことん考え、様々な場面で試し、自分のリーダーシップ法を築いていく。濃密な2年間である。そこで学んだ事を、発達障害の現場に適用した場合のリーダーシップ論について考えてみたい。

発達障害の人が、“デキル”部下(フォロワー)になるためには

僕がMBAで学んだことは、リーダーとしての仕事は主に2つだということだ。一つにゴールを設定すること。もう一つはリソースを管理することである。

どのレベルのリーダーでもその2つを行うことが役割。これは僕がMBAで学んだ最も大きなことともいえる。当たり前で簡単なようだが、とても難しい。できている人は少ないと思う。

一方、僕が米国から帰って体験から学んだこと。それは部下(フォロワー)として仕事が出来るためには何が必要とされるかということだ。発達障害の就労支援をする中でどうしても必要になり、仰々しいかも知れないが僕なりに体系化したことである。

フォロワーとして成功する要素は3つある。一つはリーダーの指示を把握すること。次に把握した指示を遂行すること。最後に状況を適宜、リーダーに報告連絡相談(俗に言うホウレンソウ)をすることである。


フォロワーとして「出来る人」になるために

発達障害の人は、言語化・視覚化されていないルールを汲み取ったり、全体感を把握して判断したりするのが苦手である。このため仕事の現場では、指示の把握が苦手だったり、指示を遂行するための段取りが苦手だったりしてしまっている。加えていわゆるコミュニケーション力が弱いのでホウレンソウが苦手である。

フォロワーとしての要素をいずれも欠くと、リーダーから疎まれ、職場から排除され、就職しにくくなるわけである。

発達障害の現場にも適用できたMBA流リーダーシップ

 

福祉の世界では、フォロワーとしてなかなか上手く機能できない発達障害の人を上手に就職させるためには、環境整備(目標の明確化・定量化、作業指示の視覚化・構造化)が良いとされてきた。僕も現場で支援活動をするたびにそう思った。

そんな中、ひとりでも多くの発達障害者を就労させようとかけずり回っている時に、あることに気がついた。「環境整備というのは、MBAで学んだリーダーシップとしての要素の一つ、明確なゴールを定めるということではないか」ということである。

噛み砕いて言うと、ゴールを設定するためには、何らかの価値基準を作らないといけない。何が良しとされ何が悪しとされるのか、多くの人が納得する基準を作る必要がある。そこで、いつまでに何をどの程度の質でアウトプットとして出すのか、その具体的なビジョンを出すことが必要になってくる。まさに環境整備(目標の明確化・定量化、作業指示の視覚化・構造化)というわけだ。

この気づき以来、発達障害の就労支援で企業に出向くとき受け入れ先の上司に伝えるのは、MBAで学んだリーダーシップ法を発達障害の就労支援風にアレンジした助言である。

MBAで学んだことが、僕が今取り組んでいる福祉の現場でも使える。なんだか不思議な法則をケロッグで学んだといつも思う。

鈴木慶太さんによるコラムは、次回も続きます。お楽しみに!

著者プロフィール

鈴木 慶太
(株) Kaien 代表取締役

[主な経歴・業績]
2000年、東京大学経済学部卒。NHKアナウンサーとして報道・制作を担当。’07年からKellogg (ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院)留学。MBA。渡米中、長男の診断を機に発達障害の能力を活かしたビジネスモデルを研究。帰国後Kaienを 創業。今年(’12年)5月にダイヤモンド社から「MBA、起業、そして発達障害の物語(仮)」を出版予定。

[関連サイト]
(株) Kaien ウェブサイト
http://kaien-lab.com
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